演奏会
私は中学高校と吹奏楽をしていた。
楽器はトロンボーンを担当していた。
私の住む所には地域に根ざした吹奏楽団がある。
私が中学2年の時のことだった。
毎年開催される定期演奏会があり、友達と行く約束になっていた。
友達と合流し、いざ会場に入ろうとするも、チケットがない。
どうしようと思った私は、自宅に連絡し、兄がいたので持ってくるようにお願いした。
20分くらい経っただろうか。
兄が自転車に乗ってやってきた。
当時の兄は高校生。
チケットを渡してくれた。
ズボンのポッケではない、あるところから出てきた。
それは、かぶっていた帽子の中からチケットが出てきた。
当時の兄は高校の校則で坊主だった。それで普段帽子をかぶっていた。
友達は苦笑いをしていた。
きっと、兄的にはウケ狙いでやったのだろうと思う。
私はちょっと恥ずかしいと思った。
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私が離婚をして、しばらくしてから兄から、エレカシのライブに誘ってくれた。
「いやー、ここ、達郎(山下達郎)も来たんだよなぁ。」
「悪いけど私もやったよ。数分だけど。」
私は学生時代、夏の吹奏楽コンクールで何度かここの会場でステージに立っている。
B組というクラスだったので自由曲のみの演奏なので、ほんとにわずか数分。
そんなことを話すと、兄はちょっと羨ましそうな、すごいなぁ、といったかんじの表情をしていた。