缶
兄が突然いなくなった。
会いに行こうとしていたその日に。
半年が過ぎるか過ぎないかくらいだったろうか。
父親がこんな事を言った。
「夢にでてきたん。」
「おやじ、いるかー?って玄関から入ってきた。」
「嘘、夢に出てきたの?」
1年が経とうとしていた頃、兄の同級生の女の子から連絡があった。
夢に出てきたという。
あのままだったという。
これから夢にでてくる兄はずっとあのままなんだろうな、と話していた。
ずるいよね、お兄ちゃん。
私のところにはこないのかな、と思っていたある日、
兄と共通の趣味であったラジオ番組を聞いて寝た後のことだった。
私は兄の車に乗って運転しようとエンジンをかけた後、助手席をあける音がした。
「よお。」といういつもの兄の声がしたのがわかった。
手には缶コーヒーを持っていて、よく振ってその後ドリンクホルダーに置いていた。
「お兄ちゃん」
呼んでみたところで目が覚めてしまった。
これが本当の「ナイスコーヒー」なのか。
兄は、TBSラジオの東京POD許可局のリスナーだった。
私が聞いた寝る前に聞いたラジオも、東京POD許可局だった。
https://www.tbsradio.jp/tokyopod/
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