punimaruko157のブログ

主に急逝してしまった兄の話。

はんぶんこ

うちの父親は、鳶職をしていた。

鳶というのは、家の基礎を作る仕事、と父親が言っていた。

実際に父が働く姿を見たことがなかったので、説明がぼんやりなのがちょっと申し訳ない。

 

たまに、建前だ(上棟式ともいう)と言って、オードブル(父はおり、と言っていました)をお土産に持ってくることがあった。

たまにお餅とか、硬貨(5円10円、50円、もあったかな)もあったりして。

 

オードブルの中には、鶏モモの骨つき照り焼き、みたいなのが決まってあって。

いつも母親が、「お兄ちゃんとはんぶんこね」なんて言ってた。

想像できるでしょうか。

骨側とモモ側と、という具合になる。

私は割と骨側を食べることが多くて。

それで喧嘩になることがあった。

喧嘩、というか、私が決まって泣いて、親がなだめるということが度々あった。

 

いつしか兄が折れて、鶏モモを私が独り占めするようになっていた。

あの時兄はどう考えて折れたのかな。

 

また食べたいな。「おり」に入ってた鶏モモ。