お酒
私の兄は、お酒を飲むことが好きだった。
だけど、強い方ではなかったようでもある。
亡くなったその日も兄にとってはたくさん飲んでいた。
私が高校のころだったか。
兄の部屋にジャックダニエルが飾りとして置いてあった。
家で飲んでいる姿を私は見たことがない。
兄が亡くなって、兄の家には少し残っていたウィスキー(トリス)と、開けていないウォッカがあった。
残っていたウィスキーは私がハイボールにして飲んだ。
飲み口がすっきりしていてとっても美味しかった。
よく、バーに立ち寄ることがあったようなので、家でもカクテル的なものを作りたかったのかな、なんて想像をしてみた。
ウォッカにはよく見ると、DUTY FREEの文字がある。
海外に行った方が兄のためにとお土産だったのかもしれない。
そのまま飲むにはあまりにも度数が強い。
だから兄はそのまま開けずにいたのかもしれない。
私の兄はお酒を飲むことが好きだった。
仲良くしていた飲み仲間が教えてくださった。
「強いお酒をロックで飲んでたよね。」
そのままの味が好きだったようである。
唯一、私が一人暮らしの兄の部屋に泊まらせてもらった時、帰ってきてからもウィスキーをロックで飲んでいた。
今でも印象的な兄のワンシーン。
兄にとってお酒は、自分と対話するためにあったのではないかな、と私は想像した。