誕生日というトラウマ
兄が亡くなり、母が亡くなった。
各書類を書くにあたり、誕生日を記入する。
その時に私は父に思わず言ってしまった一言があった。
「誕生日もわからないの?」
私の家族は、風習的なものは一切やらない、と母親から言われた。私はそうやって育った。
人とは違う、人は関係ない、と。
だから、誕生日を祝う、ということをしたことがない。
クリスマスだって、ケーキすらなかった。
産まれたことを祝う、という風習が家にはなかった。
私誕生日だったんだよ。そう言うと父は、
「知らねえ」と言ったきり、会話が止まってしまった。
興味がないのである。
そこから私の心は急に閉ざされてしまった。
もう父には誕生日の話をするのはやめにしよう。
なかったものを無理やりつくる必要もないのかもしれない。
私を私とみてくれるのは誰?