レコード盤
「おなか空いたな。」
どうしようと悩んでいると、鶏肉を調理した、いい匂いが漂ってきた。
今日はランチだな。私はそう決めると、となりの喫茶店のドアをカランコロンと開けた。
「いらっしゃい。こんにちは。」いつものママさんの声が私を安堵にさせる。
どうぞ、とお水とおしぼり、メニューを持ってきてくれた。
私はメニューをみたとたん、パスタが食べたいと思った。
「じゃあママさん、日替わりパスタで。」
「お飲み物は?」「ホットコーヒーで。」
「はい。コーヒーね。ありがとうございます。」
パスタを待っている時間、私は店内をふと見上げた。
すると数枚のレコード盤が。
「はい、お待たせー。」
「ありがとうございます。ねぇママさん。あのレコード、どうしたの?」
「あれ?あれは全部あなたのお兄ちゃんがもってきたものよ。」
今年亡くなった兄が持ってきたものだということがわかった。
「へぇー。本当ぉー。」
私はすかさずスマホのカメラを動画に切り替え、動画を撮った。
「そういえばあれは見覚えあるかも。」
YMOのレコードが置いてあった。自宅にいるときに見かけたものもあった。
「大丈夫?麺伸びちゃうよ。食べないと。」
「そうだ。お兄ちゃんに怒られちゃうね。「俺の好きなシーフードスープスパが、」って。」
その日の日替わりパスタは兄が好きだったシーフードスープスパだった。