ヒーター
「お兄ちゃん、つかないよ、これ。」
「ん?つかない?これさー、切って、温度上げてさぁ。」
兄がもう一度消したりつけたりするとヒーターはついた。
「おお。ついた。」
いつ買ったのかもわからないそのヒーター、ステッカーなどがベタベタと貼ってあるのをみて、愛着をもって使っているのだろうなぁと想像できた。
ちなみに、兄が使っていたゴミ箱にもたくさんのステッカーや製品に付いていたシールなどが貼ってある。私にはある意味芸術作品とも見えて、手放すのを躊躇してしまっている。
これいつ壊れるんだろ?もう新しいの買おうかな。
そう思いつつだましだまし使っていた。
ついに、とうとうその日がきてしまったようだ。
私は風邪をひいた。
疲れも溜まっていたのだろう。季節の変わり目に重い風邪をひいてしまった。
昔から寒いのが苦手な私は、ヒーターをつけようとスイッチを入れる。
が、ピーピー、とエラー音がする。
「ん?」
おかしい、と今度は電源を抜いてからスイッチを入れてみる。
再びピーピー、とエラー音が。
私はGoogleを開き、機種とエラーの表示を入れて検索する。
すると「故障」の文字が。
買ってからだいぶ経っていることを想像すると部品なんてあるの?と疑問に思った。
修理してもらうより買った方が早いし、何よりも寒い。
私はすぐに近所にあるホームセンターに車を走らせた。
やはり早めに買っておいた方がよかったか?と後悔をした。
適当なものを選んで私は新しいヒーターを買った。
「このタイミングか。」私は思わず呟いてしまった。
兄がいなくなったから、壊れたのかもしれない。