お母さんへ
今年も母の日がやってくる。
母の日どころか春を待たずして母は亡くなってしまった。
今頃兄と一緒にいるかな?どうかな?
でも、ちょっとびっくりさせちゃったかもしれないよね。ごめんねお母さん。
お母さん、お兄ちゃんは?って私に聞いた時、とっさにちょっと疲れちゃってて、休んでるんだ、って答えちゃって。
とてもじゃないけど本当のことは私からは言えなかった。
ごめんね。お母さんも今なら私やお父さんの気持ちがわかったんじゃないかな。
お母さんが、「もう死にたい」って言ったとき、どうしてあげたらいいのかわからなくて。
頑張って歩こうと思ってリハビリしてた時、腰の骨を折っちゃって。
私もあれから事故にあってしまって骨盤を痛めたからその時お母さんの気持ちが少しわかったよ。
痛かったよね。自分で起き上がることができなくなってから何年も痛かったよね。
お母さん元々頑張り屋だから、痛みに対しても耐えてきたんだよね。
本当はもっと早くに楽になりたかったよね。ごめんねお母さん。
でもさ、お母さんの頑張りは忘れないからね。それだけは言える。
お昼ご飯を食べる時、途中でプリンを食べだして、終わりかと思いきやご飯もお味噌汁もきちんと飲み干してた姿、(お母さんは好きなものは先に食べるんだよね。)
おやつのカステラを、私にも分けてくれようとしたり、そんな可愛いお母さんも忘れない。
ある時は看護師さんに、私を妹、なんて言ってた事もあったっけ。さすがにびっくりしたよね。
私が撮った写真を見せた時、すごく興味津々に見てくれたね。桜の写真綺麗だった?
私がお寿司を頬張っている写真を見たらお母さん、大きな口開けて笑ってくれた。あの時のお母さんの顔だって忘れない。
お母さん、お兄ちゃんの事ももっと話したかったねぇ。
昔、男の方が余る(人口が少ないから)って言われてる、なんていう話をしてたけど、お兄ちゃん、とうとう結婚しなかったねぇ。
寅さんを見たら、これ俺じゃん、って思ったんだってさ。俺もマドンナ追いかけて全国回りたいよなんて言ってさ。おかしいよね。
お兄ちゃん、友達にも恵まれてたよね。葬儀の時も、たくさんの人が来てくれたの。
ありがたかった。友達が何度か来てくれたり、飲みに誘ってくれたりね。
でもさ、何より、お兄ちゃんの喪主なんてやりたくなかった。順番違うよ。ねぇお母さんもそう思うでしょ?
お母さんも本当はお兄ちゃんに見送って欲しかったよね?
私がお母さんに伝えたかった事、伝わってるのかわからないからこの手紙にも書くね。
お母さん、私とお兄ちゃんを兄妹にしてくれてありがとう。
ゆっくり休んでね。